手術実績・研究内容

手術実績(乳房再建含む)

研究内容

術前のホルモン療法及びドレゾロン酸投与の併用療法

原発性乳がん(直径が5㎝以下であって、リンパ節転移および遠隔転移しておらず、かつ、エストロゲン受容体が陽性であって、HER2が陰性のものに限る)

術後のホルモン療法およびS-1内服投与の併用療法 原発性乳がん(エストロゲン受容体が陽性であって、HER2が陰性のものに限る)

ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の原発性乳がんに対して、標準的な術後ホルモン療法と経口の抗がん薬TS―1(テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム)の長期投与(1年間)を併用する治療方法です。微小転移を休眠状態に導き、再発抑制効果を高めることを目的とし、1セット〔1日2回(朝食後・夕食後)を14日間投与→7日間休薬〕を、1年間繰り返します。

これまで、原発性乳がんに対する術後の再発予防を目的とした化学療法(術後補助化学療法)では、アンスラサイクリン系やタキサン系などの抗がん薬を組み合わせた点滴投与が標準的でしたが、ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の原発性乳がんには、化学療法のホルモン療法への上乗せ追加効果は低く、課題とされてきました。このタイプでより治療効果をあげるには、従来の薬剤では叩くことのできなかったごく微小な転移を制御する新たな治療法が求められます。

TS-1は、これまでの臨床研究の結果でホルモン受容体陽性乳がんの再発予防に効果の高いことがわかっているUFT(テガフール・ウラシル)という抗がん薬よりも、より強力な5-FU不活化酵素(DPD)阻害剤であるギメラシルが配合されており、より高い抑制効果が期待できます。