治験について

治験とは?

治験とは、国(厚生労働省)から承認を受けるために行う臨床試験のうち、新薬や新しい医療機器の製造承認を得るために主に製薬企業が行う試験のことです。(医師が実施する「医師主導治験」という種類もありますが、数は多くありません)

日本では、難治性の病気を治療する新薬の開発が活発に行われています。
新薬を開発し、患者さんに提供するには、国に「この薬を患者さんに使っても安全で、病気の治療に一定の効果があります」と認めてもらわなければなりません。
国に薬の効果と安全性を認めてもらうために、通常はまず研究室での実験や動物試験などを行います。この結果、人体に使用しても効果や安全性に一定以上の評価ができる判断された薬のみ、次の段階である治験(人の体を使った試験)に進みます。治験の結果が良好で、厚生労働省から承認が下りると、承認された疾患の範囲内で新薬を使用することができるようになります。

※治験は全国各地の病院で行われているわけではなく、実施できる医療機関は定められています。

治験情報 (2021年6月)

トラスツズマブ デルクステカン(DS-8201)の術前療法後のHER2陽性乳がん患者を対象とした第3相臨床試験
対象:術前療法を経た手術後に乳房または腋窩リンパ節に浸潤性残存病変を有するHER2陽性乳がん患者
概要:DS-8201 vs TDM1の直接比較試験。有効性の腫瘍評価項目は、無浸潤疾患生存期間(IDFS)。安全性の評価も有害事象などで行う。

JTOP-B試験
アントラサイクリン/シクロホスファミド療法を受ける乳癌患者を対象とした化学療法誘発悪心・嘔吐の予防に対する標準制吐療法とオランザピン併用の有用性を検証するプラセボ対照二重盲検ランダム化第Ⅲ相比較試験
対象:20歳以上 stagⅠ~Ⅲ AC(AC,EC,FEC,CAF)療法による初回がん化学療法を受ける予定の女性乳がん患者
概要:試験薬群:オランザピンを4日間内服+標準催吐療法とプラセボ群:プラセボを4日間内服+標準催吐療法の2群に割り付け、化学療法誘発の悪心・嘔吐の予防に対する有用性の比較を行う。

JBCRG-C08_ATTRIBUTE
トリプルネガティブ乳癌患者に対するアテゾリズマブの前向き観察研究
対象:20歳以上 PD-L1陽性のTNBCの手術不能または再発乳癌。TNBC再発(手術不能)乳癌に対する治療が2レジメン以内。
概要:アテゾリズマブを含む治療を行う症例の有害事象と有効性の評価することを目的とした観察研究。投与量,投与スケジュール,休薬・減量・中止基準の規定はない。

POTENT-FU
ER陽性HER2陰性乳癌に対するS-1術後療法・長期予後に関する多施設共同研究POTENTの付随研究
対象:stageⅠ~ⅢB POTENTにおいてFAS対象となった症例(登録終了)
概要:POTENT:再発リスク高あるいは中程度のER陽性かつHER2陰性の原発性乳癌を対象として、標準的な術後内分泌療法単独群(内分泌療法単独群)と、標準的な術後内分泌療法とS-1の併用群(S-1併用群)の比較試験。

臨床研究・臨床試験・治験の関係性イメージ

臨床研究:疾患の診断・治療・予防などの方法を改善するために「人」を対象にして行う研究。
臨床試験:開発した薬の承認を国から受けるために行う試験。
治験:臨床試験の中でも新薬や新しい医療機器の製造承認を得るために行う試験のこと。これまで患者さんに使用されたことのない、あるいはその疾患に対して用いられたことのない薬について、その有効性や安全性を調査する。

東京医科大学乳腺科は、日本の医療をリードする大学病院の責務として、積極的に治験や臨床研究を行っています。当院には院内に治験審査委員会が設置されており、実施される治験が様々な観点から正当・妥当で、なおかつGCP(医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令)に則った取り組みであるかを常時審査しています。治験審査委員会の議事録はどなたでも閲覧することができます。(こちらから

当院が医療のさらなる発展のために果たさねばならない役目は決して少なくありません。とはいえ、目の前の一人一人の患者様を大事にするのは当然のことです。患者様のプライバシーや人権を最大限に尊重し、害をなすことがないよう最大限注意を怠らないことを約束します。